事業所紹介
伊東株式会社は2021年に二次創業した半田市亀崎町にある日本酒の酒蔵です。「食を楽しむ時間・空間」が、敷嶋によって幸せな瞬間になることを願って酒造りを始めました」と代表取締役の伊東優さん。流行を追うのではなく、食中酒として日々の食事に寄り添うお酒、料理をしっかり受け止めながらキレの良い後味のお酒造りを志向しています。
源は、23年前に200年を超える歴史の幕を閉じた銘醸蔵「伊東合資会社」
<源は、23年前に200年を超える歴史の幕を閉じた銘醸蔵「伊東合資会社」>
半田市亀崎町には、かつて全国に名の知れた酒蔵がありました。
天明8年(1788年)創業の伊東合資会社です。お酒の他にも、味噌・醤油業、薬屋、金融業なども手がけ、地域の産業に深く根差した複合企業としての側面も持っていました。
そして伊東合資会社が造る「敷嶋」は、一時江戸の市場で人気を博した「知多酒」の代表銘柄でした。
しかし、清酒需要の低下などから平成12年(2000 年)に200年を超える歴史に幕を閉じることになりました。
<9代目が魂を込めて歴史のある酒蔵と銘酒「敷嶋」を復活>
廃業から20年余りのブランクを経て、令和2年(2020年)に再び酒造りを開始。2021年には、一度は人の手に渡っていたかつての製造場、本蔵と新工場を買い戻し、半田市亀崎町に清酒「敷嶋」の製造元である旧伊東合資会社が現在の伊東株式会社として帰ってきました。清酒製造免許もM&Aにて再取得、2021年度はタンク15本、2022年度は32本のお酒を製造。再び時計の針は動き始めました。
流行りもの追うのではなく文化を創っていきたい
<最新の設備で狙い通りの酒質を実現>
酒蔵復活といっても、古い造り方を再現するわけではありません。かつての敷嶋より力強い酒造りを行っています。そのためにも、しっかりと米を溶かせるように強い麹をつくり、また上品な後味になるように丁寧な温度管理を行っていきます。酒蔵の心臓ともいえる麹室は衛生管理も温度管理も行き届くステンレス製。仕込みに使用するタンクは細かい温度管理ができるようになっています。一方で麹造りや仕込みをはじめ、作業の殆どは手作業。手作業でしかできない微妙な調整により、力強さと上品さの両立を目指しています。安定した品質で通年醸造を可能にする設備と、探究心で、今後も真っ向から酒造りに向き合っています。
<流行りもの追うのではなく文化を創っていきたい>
「我々は流行りではなく、文化を創っていきたいと思っています。今はまだ創業間もない一清酒メーカーに過ぎません。例え大きな売上を残さなくてもいい。世の中の全員に好かれなくてもいい。でも、『敷嶋がなかったらこの素敵な時間は存在しえなかった』と、100 年後も 200年後も言われ続けるような、そんな酒を創っていきたいと思っています。」と伊東さん。
年内に隣接する旧醸造蔵を改装して商業施設をつくったり、将来的には先代達が住んでいた旧家をリノベーションして宿泊施設にするなど、次の展開を考えています。
「半田は清酒だけでなく、今でも味噌や醤油、酢などを造る蔵が集積している醸造の町。この土地の文化を広く知ってもらい、国内だけでなく、世界から注目される地域にしていくことが僕の人生の最終目標です」と夢ではなくはっきりと目標として捉えています。強い敷嶋が帰ってくるのもそれほど遠い未来ではないのでは。